影響力の大きさを知る

◆『七人の侍』監督:黒澤明東宝/1954年/207分
これは、もう日本映画のなかでもとりわけ有名な作品で、また人気もある。きょう見に行った映画館は、比較的小さな映画館なので、おそらく7、80人ほどで満杯になっていた。上映時間のちょっと前についた私など、補助席で見なくてはならなかったほどだ。観客のほとんどはお年寄りで、若い人はあまり見に来ていなかったようだ。私の経験では、こういう昔の日本映画など回顧上映されると、たいてい観客はお年寄りが多い。だけど、実際黒澤とか小津などの映画って、けっこう理解するのが難しい映画だと思うのだけどどうなんだろう?もっと若い人が見て、映画を見ることの難しさを体験すべきなのではといつも思う。
七人の侍』は、むかしビデオを見ただけで、今回初めてスクリーンでみた。やっぱり黒澤映画は、大きなスクリーンで見ないといけない。
きょう、この映画を見直して感じたのは、後の映画に与えた影響力の大きさである。北野武座頭市』あたりを思い出したのだけど、武は「黒澤」をやりたかったのかと思う。『座頭市』のラストのタップダンスは、『七人の侍』のラストとほぼ同じだ。『ラスト・サムライ』だって、農民たちの村が出てくるあたりが『七人の侍』と似ているし。
そんなことを映画を見ながら考えていた。ところで、正直あんまりこの映画は面白くなかったなあ。どことなく共産主義革命っぽい雰囲気が出ていたからかもしれない。しかし、そうした安直な解釈を退けるものもあった。とくに、三船敏郎の演技はすごい迫力。冒頭付近の侍を集める場面での、酔っぱらいの演技はただ者ではない雰囲気を出していた。要チェックな演技だ。
一つ思いついたこと。黒澤映画で、「依頼される」というのが、一つの主題を形作っているのではないか?