百害あって一利なし

 また、ふつう本の背だけしか見えない棚に、スペースをつくって本の表紙が見えるようにしてディスプレイしてある場合がある。これは「面出し」と言って、売れている本や、書店が売りたい本がそういう扱いを受けているのである。(石原千秋『大学生の論文執筆法』ちくま新書、2006年6月、p.125)

私は、この「面出し」を常日頃、強く批判(いや批難)している。「面出し」を見ると、きちんと並べ直したくなる衝動に駆られる。というのも、この並べ方では、本が傷みやすいからだ。また、不安定な置き方なので、しばしば本棚から本が落ちる。落ちてきた本にぶつかることもあり、非常に危険である。よって、書店は今すぐに「面出し」をやめるべきだ。「面出し」は、百害あって一利なしである。
書店にとって、本は商品である。その大事な商品にどうして傷つけるようなことをするのか。書店員は、本を丁寧に扱うことを第一に考えるべきだと思う。本が傷んでも平気で売ってしまう書店はダメだ。こういう書店は信用できない。だから二度と買いに行かない。「目立てばいい、売れればいい」という書店はつぶれてしまえ! 傷んだ本が書店に並べられているのを見ると悲しくて涙が出てくる。