吉本隆明『ハイ・イメージ論Ⅱ』

吉本隆明『ハイ・イメージ論Ⅱ』ちくま学芸文庫、2003年11月
第一巻同様、この第二巻も私には難しすぎる。この論を通して、吉本隆明は何を言おうとしているのか、何をやろうとしているのか。それが知りたい。
思うに、吉本隆明は普遍的なものを取りだそうとしているのではないか。それはたとえば「像」などという言葉で言い表されていると思う。第二巻も、論じる対象が広範囲にわたっている。その知的探求心、というかどんな知識でもどん欲に手に入れようとする欲求の強さには驚かされる。さまざまな「知」へとアクセスしたいのは理解できるが、それが時折、ただのお勉強ノートになっているところもあるのだけど。
それはともかく、さまざまな「知」を通して吉本隆明が得ようとしているのは、物事のあるいはこの世界の普遍的な問いなのだと思う。だから、本書を通読してみると、どこか大風呂敷を広げたような印象を受ける。壮大で重厚な論であると思う一方で、どこか怪しげで妄想めいた世界だなとも思うのだ。非常にキケンな本なのではないか。第三巻が残っているのだけど、この論はいったいどこに行くのだろうか。どこに着地するのだろうか。読むのは辛い本だが、着地点が非常に気になる。

ハイ・イメージ論2 (ちくま学芸文庫)

ハイ・イメージ論2 (ちくま学芸文庫)