ジャック・デリダ、ジョン・D.カプート編『デリダとの対話』
◆ジャック・デリダ、ジョン・D.カプート編『デリダとの対話――脱構築入門』法政大学出版局、2004年12月
これは1994年10月にアメリカのヴィラノヴァ大学で行われたデリダを招いての「円卓会議」を記録したものに、編者カプートの注釈(というかデリダ論)を付けた本である。ちなみにカプートは、現代を代表する宗教思想家だそうだ。
脱構築入門と副題にもあるように、カプートの解説はひたすら「脱構築とは何か」という問いが中心となっている。カプートは、「「来るべき」正義、ならびに未来の肯定、これから到来すべき者たちの肯定」というデリダのモチーフ(あるいはメシア的モチーフ)を何度も取り上げている。来るべき者(=他者)への応答責任、これをカプートはデリダ論の重要な点と考えているようだ。
一つ、なるほどと感心した文章があった。
「あなたはいつ来るのですか」
「今日です」
これが、一言で言った場合の脱構築である。(p.278)
これは、うまい言い方だなと思う。けっこう私は気に入っている。
- 作者: ジャックデリダ,ジョン・D.カプート,Jacques Derrida,John D. Caputo,高橋透,黒田晴之,衣笠正晃,胡屋武志
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 単行本
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