三島由紀夫『不道徳教育講座』

三島由紀夫『不道徳教育講座』角川文庫、1967年11月
「不道徳」というタイトル通り、「世間」の常識にあえて反することをやや挑発的に書いた逆説が好きな三島らしいエッセイ。
「教師を内心バカにすべし」「大いにウソをつくべし」「人に迷惑をかけて死ぬべし」など、ずらりと「不道徳」な章題が並んでいるのだけど、発表時はそれなりに刺激があったかもしれないが、時間を経た現在では、やや古くささを感じてしまうかも。特に、「性」のモラルに関する話は、三島が考えていたよりも現在ははるかに「不道徳」になったのかもしれない。これは、風俗を題材にした文章では仕方がない。それでも、昭和40年代のモラルがいかなるものであったのかを知る重要な資料にはなるのではないか。

不道徳教育講座 (角川文庫)

不道徳教育講座 (角川文庫)