これで良いのだろうか?

雑誌『国文學』で樋口一葉が特集されている。すが秀実氏、伊藤氏貴氏の論考をコピーして読む。
すが氏は安直なフェミニズム批評を攻撃。つまり、今のフェミニズムは「「現実」に対する介入的な批判力」が失われているんじゃないの、「政治性」を回避しようとしているんじゃないの、という批判だ。まあ、一理あるかな、なんて思う。一方、伊藤氏の論文、ちょっと読むと「ん?」とおかしな書き方を見つける。
樋口一葉はとうぜん女性なのだけど、なぜか伊藤氏は一葉を指すとき、「彼」という言葉を用いる。で、そのこころは?というと、「性差に抗する」試みだそうで、「諒とされたい」と言われても…。
なぜに「彼」でなくてはいけないのか?それなら、「彼/彼女」という言葉をそもそも用いず、悪文覚悟で「一葉」とでも記せばよいのではないか?男女の区別なく「彼」で統一するのは、いたずらに読みにくくするだけで、「性差」への抗いとして効果的とは思えないのだが。