伊藤整『小説の方法』

伊藤整『小説の方法』岩波文庫、2006年6月
日本の小説について、特に私小説について、伊藤整がそれがいったい何なのか、西洋の小説との比較を通して解明しようとする。もとになった文章は、戦後すぐの1947年から48年にかけて発表されている。そして1948年に出版されている。そのわりには、今読んでも非常に新鮮な内容。最近の文芸批評となんら遜色がない。というか、現在の批評家よりも、はるかに高いレベルで、小説について思考を巡らせている。
本書には、亀井秀雄氏の解説がついている。この解説がよい。伊藤整の理論をバフチンの理論と比較して、その画期性について教えてくれる。この解説も必読すべき。

小説の方法 (岩波文庫)

小説の方法 (岩波文庫)