2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

野村芳太郎『女の一生』

◆『女の一生』監督:野村芳太郎/1967年/松竹/120分 原作はモーパッサンの『女の一生』。これを信州の旧家を舞台にして、この家の跡取り娘である伸子の一生が語られる。ヒロインの伸子は岩下志麻が演じている。 伸子は戦争中病気で療養所で過ごし、戦後に…

野村芳太郎『どんと行こうぜ』

◆『どんと行こうぜ』監督:野村芳太郎/1959年/松竹/90分 脚本を野村芳太郎と大島渚が書いている。大島渚というと、つい政治的な色彩の濃い映画をイメージしてしまうのだが、この映画は大学生を主人公にしたコメディで、かなり面白い内容だった。 大学の放…

石原千秋『国語教科書の思想』

◆石原千秋『国語教科書の思想』ちくま新書、2005年10月 「国語教科書」をテクストとして捉え、そこにいかなる思想が流れているのかを「批評」する試み。「言説分析」「構造分析」と呼ばれる手法から、国語教科書が批評される。このようにして、教科書に収録…

星野智幸『ファンタジスタ』

◆星野智幸『ファンタジスタ』集英社、2003年3月 『文藝』2006年春号で星野智幸が特集されていた。星野作品を全部読もうと考えていたところだったので、この特集は非常にありがたい。 この特集には、星野自身による著作解題があり、興味深い内容となっている…

松浦寿輝『花腐し』

◆松浦寿輝『花腐し』講談社文庫、2005年6月 感想を書くのが難しい作品。水(雨)のイメージは印象に残るのだが、それ以上のものとなると何だろう?。文章がきれいだなと思いながら、すらすらと読んでいたら終わってしまったという感じ。何度か読まないと、こ…

藤原正彦『祖国とは国語』

◆藤原正彦『祖国とは国語』新潮文庫、2006年1月 いままで知らなかったのだが、藤原正彦は新田次郎と藤原ていの息子だったのか。この本に収められている「満州再訪記」という文章は、戦後の日本を考える際にけっこう興味深い内容であると思う。 「満州再訪記…

保坂和志『プレーンソング』

◆保坂和志『プレーンソング』中公文庫、2000年5月 なかなか面白い小説だ。四方田犬彦は解説のなかで、「曖昧さ、形のなさ、偶然」をこの小説の一貫した主題であると述べていたことは注目に値する。特に私は、この小説の「曖昧さ」という主題に興味を持った。…