藤原正彦『祖国とは国語』
◆藤原正彦『祖国とは国語』新潮文庫、2006年1月
いままで知らなかったのだが、藤原正彦は新田次郎と藤原ていの息子だったのか。この本に収められている「満州再訪記」という文章は、戦後の日本を考える際にけっこう興味深い内容であると思う。
「満州再訪記」は、敗戦後、満州から必死に引き揚げてきた藤原家。高齢になった母、藤原ていをつれて、もう一度かつて住んでいた地を訪れる旅についての文章である。昔の記憶を頼りに、藤原正彦が生れた病院や、住んでいた官舎などを捜索するのだが、場所の名称などが変わっていたり、当時の建物が残っていなかったりして、見つけるのにかなり苦労する。しかし、なんとか見つけ出すことができ、最後に引き揚げの出発点となるかつての「新京駅」に行く。そして藤原正彦は、「ここは藤原家の原点なんだ」「この駅はお前たち発祥の地なのだ」(p.222)と自分の子どもたちに向かって言う。日本人にとっての「満州」、日本文学における「満州」の意味など、いろいろ考えるべきだなと思う。

- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/12/22
- メディア: 文庫
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