2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧

長篇を読んでみる

◆町田康『告白』中央公論社、2005年3月ISBN:4120036219 町田康の作品は、ほとんど読んでいないのだけど、なぜ人は人を殺すのかという帯の文句に引かれて買ってしまった。冒頭部分だけ読んでみたけど、かなり面白いという予感がする。

柄谷行人『探究Ⅰ』

◆柄谷行人『探究Ⅰ』講談社学術文庫、1992年3月 この本は、要するに《他者》論なのだが、それ以上でもそれ以下でもない。純粋に《他者》論。それしか感想が思いつかない。柄谷行人の著作のなかでも、けっこう取り上げられたり言及されることが多い本だけど、…

加藤幹郎『『ブレードランナー』論序説』

◆加藤幹郎『『ブレードランナー』論序説――映画学特別講義』筑摩書房、2004年9月 非常に面白い映画分析。映画を見る(聴く)とは、どういうことなのか。映画学という知を総動員して、『ブレードランナー』を読み解く試み。映画を見ることの困難さは、蓮實重彦…

李闘士男『お父さんのバックドロップ』

◆『お父さんのバックドロップ』監督:李闘士男/2004年/日本/98分 『お父さんのバックドロップ』を見た。予告を見て、面白そうだと思っていたが、実際に見てみると予想をはるかに上回って面白い。私のなかでは、傑作映画になりそう。 さて、この映画のクラ…

和田伸一郎『存在論的メディア論』

◆和田伸一郎『存在論的メディア論 ハイデガーとヴィリリオ』新曜社、2004年12月 はじめは正直、「いまどき現象学なのか」とためらいを覚えた。メディア論をきわめて広い範囲で考えたとき、私はすでにたとえば『サブカルチャーや神話解体』や『<意味>への抗…

稲葉振一郎『経済学という教養』

◆稲葉振一郎『経済学という教養』東洋経済新報社、2004年1月 どうにかこうにか読了。この本に元になったウェブマガジンのほうも読んではいたけど、やっぱり本になって読みやすくなって助かる。経済学で、どんな議論がなされているのかを知るにはとても便利。…

島本理生『ナラタージュ』

◆島本理生『ナラタージュ』角川書店、2005年2月 この小説は、島本理生の傑作と言いたい。それぐらい良い小説。かなり洗練されてきた。センチメンタルな物語にすぎないと分かっていても、小説世界に没入にしてしまう。それだけ私には魅力的な小説だったという…

玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安』

◆玄田有史『仕事のなかの曖昧な不安 揺れる若年の現在』中公文庫、2005年3月 「仕事」をとりまく現状、とりわけ若者と仕事の関係を分析して、最近の若者が怠惰であるが故に、仕事をしない、あるいは仕事が長続きしないというわけではないということを、精神…