内田樹『子どもは判ってくれない』

内田樹『子どもは判ってくれない』文春文庫、2006年6月
短い文章からやや長めの文章の時評的エッセイを集めた本だ。本書の基本的なテーマは、「対話」とはいかなるものかということだろう。「対話」の目標としては、自分の言葉を相手に届けることが重要なのだ。これは、「正しい」ことを語ることよりも、もっと重要だ。「正しい」言葉でも、必ずしも相手に届くとは限らない。相手に届かない言葉には、何の効果もない。何の効果もない言葉は、相手から責め立てられることもないので、発言者としては楽といえば楽だが、はたしてそれでいいのか。「対話」を成り立たせる作法について、いろいろと考えることが多い。

子どもは判ってくれない (文春文庫)

子どもは判ってくれない (文春文庫)