戸田山和久『科学哲学の冒険』

戸田山和久『科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法を探る』NHKブックス、2005年1月
センセイと哲学専攻の学生テツオ、そして理系の学生のリカの3人による対話を通じて、科学哲学とはいかなる学問なのかを教えてくれる良書。
最近、「科学的」という言葉が気になって本書を読み始めた。しばしば「科学的」という言葉が「論理的」と同じ意味で使われ、非論理的な文章を「科学的じゃない」と批判したり、学問は「科学的であるべきだ」と主張される。どうして「科学」という言葉が金科玉条のごとく使われるのか。「科学的」であることとは、どのようなことなんだろう。そもそも、「学問は科学的であれ」と主張する人の「科学」って何を意味しているのだろうと疑問に思っていた。こう主張する人の「科学」こそ、あいまいな言葉だったりしてはいないか。
本書の大きなテーマの一つは、科学的実在論の擁護ということだ。いかにして、論敵の批判をかわして、科学的実在論を擁護するかが本書の読みどころ。科学をめぐってさまざまな立場から論じられており、非常におもしろい。

科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)

科学哲学の冒険 サイエンスの目的と方法をさぐる (NHKブックス)