見沢知廉『ライト・イズ・ライト』

見沢知廉『ライト・イズ・ライト Dreaming 80's』作品社、2005年10月
新右翼の活動をしている「ツカサ」は、左翼活動をしている医学部生の「ヨーコ」と付き合っている。まずこの組み合わせが面白いなと思う。ツカサたちの世界は、まるで年中祭をやっているような感じで、思想の内容に魅力があるというよりも、振る舞いそのものに酔ってしまう人たちなのだ。ツカサは、時々三島と二・二六事件の磯部の霊を見る。そして、こう思う。「ああ、取り憑いてるんだ、長々と……成仏できない革命の情念が……でも、なんでオレなんかに、(略)(p.181)」
これが肝心なところなのだろう。無茶苦茶で荒唐無稽な世界だが、それゆえにすごく面白い小説になっている。

ライト・イズ・ライト―Dreaming 80’s

ライト・イズ・ライト―Dreaming 80’s