黒木和雄監督講演会

きょうは、この『父と暮せば』の上映の後、黒木監督の講演があり、私も興味があったので参加してみた。
講演では、監督の戦争体験が映画製作に大きく影響していることが語られ、また原作の井上ひさしにこの映画を海外で特に核を保有している国で上映してくれることを条件に映画化を認めてもらったというエピソードが紹介された。ヒロインを演じた宮沢りえも、この役になりきるためにかなり熱心に原爆について勉強して努力していたことなども話され、しきりに感心なされていた。
あと、この映画をいろいろなところで上映するために、国際映画祭に出品したが、ことごとく国内予選で落ちてしまったともおっしゃった。というのも「原爆」というだけで反米となってしまい、ハリウッド映画が支配的な国際映画祭ではかなり嫌われてしまうらしい。国際映画祭が政治と深く結びついていることを実感した。
この作品中には、原爆資料たとえば、熱でひしゃげた瓶だとか原爆瓦と呼ばれるものがたくさん出て来るが、これは美術の木村威夫が中心となって、写真をもとに全部、美術スタッフが作り上げたという撮影時のエピソードを話されてとても有益な講演だった。
最後に山中貞雄についての映画をなんとかして撮りたいということもおっしゃった。日本映画史の伝説的な監督である山中貞雄。それを黒木監督がどう映画にするのか。とても興味がある。