2004-12-13から1日間の記事一覧

吉田喜重『さらば夏の光』

◆『さらば夏の光』監督:吉田喜重/1968年/現代映画社/97分 ヨーロッパで彷徨う男と女。登場人物たちのオフの声が響く。ある時期、おそらく女性の映画を撮るようになったころから、吉田はオフの声を使うようになった。オフの声と映像を対立させるように、…

吉田喜重『日本脱出』

◆『日本脱出』監督:吉田喜重/1964年/松竹/96分 これは、素直にギャグ映画だと言って良いのではないか。ダメな臆病な男が、自分の意図と関係なく、凶悪な犯罪を犯してしまう、とんでもなく不幸な物語だ。犯罪映画史上屈指の奇作だと思う。映画それ自体が…

吉田喜重『嵐を呼ぶ十八人』

◆『嵐を呼ぶ十八人』監督:吉田喜重/1963年/松竹/108分 これは、あまり面白くない映画だった。初期の吉田喜重つまり松竹時代の吉田喜重は、資本家と労働者といった階級対立ばかり描いていた。今回の特集上映で、初期作品をまとめて見て感じたのは、ほんと…

吉田喜重『甘い夜の果て』

◆『甘い夜の果て』監督:吉田喜重/1961年/松竹/85分 スタンダールの『赤と黒』をモチーフにした作品だという。津川雅彦が演じる手塚という野心家の青年が挫折をする物語。どこにも行き場所がなく鬱屈する青年というのが、吉田喜重の初期の作品に共通する…