大和屋竺『毛の生えた拳銃』
◆『毛の生えた拳銃』監督:大和屋竺/1968年/若松プロダクション/70分/シネスコ
「ボス」の組織に、「シロー」という若者を殺すために雇われた二人の殺し屋。いつも「シロー」を追いつめては、逃げられてしまい、仕留めることができない。その一方で、二人の殺し屋は「シロー」に愛情というか共感に似たようなものを感じ始める。物語は、徐々に退廃的になり、映像は幻想性を帯びてくる。悪夢のような「ボス」のパーティの夜が明けた後、「シロー」を片づけたと嘘の連絡をして「ボス」の組織を呼び出し、「ボス」を裏切り、組織を壊滅させてしまう二人。
たぶん、ストーリーはこのようなものだったと思う。しかし、なんだかよく分からない不思議な映画。映画の後半になると、「シロー」の姿は消えてしまう。消えた「シロー」に対し、二人の殺し屋は同性愛的な感情を抱いてしまう。いったい「シロー」とは何者なのか?。「シロー」という存在に、監督は何を託したのか。