吉田喜重『ろくでなし』

◆『ろくでなし』監督:吉田喜重/1960年/松竹/88分
津川雅彦が「おれは、ろくでなしさ」ということを口にする度に、ほんとの「ろくでなし」の私はドキドキしてしまう。
ラストシーンがゴダール勝手にしやがれ』と同じ。津川雅彦がベルモンドのように倒れる。思えば、津川雅彦は映画のなかで、二度、銃で撃たれる真似をする「遊び」をする。真似をすることを運命づけられている人物なのだろう。
そうえいば、この時代、『勝手にしやがれ』を模倣した映画ってけっこう多いのでは?。前に誰かの映画でも、やっぱり銃で撃たれ、路上をフラフラと歩いて、ドタッと倒れる。女が近寄る。というようなシーンを見たことがあったのだけど、誰の映画だったのだろう?
ところでこの映画は、吉田喜重の最初の作品である。いわば吉田喜重の原点となる映画なのだ。

ろくでなし [VHS]

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