「二枚舌のドストエフスキー」

亀山郁夫島田雅彦沼野充義「二枚舌のドストエフスキー」(『文學界』2004年11月号)ドストエフスキー 父殺しの文学 (上) (NHKブックス)ドストエフスキー 父殺しの文学 (下) (NHKブックス)
これはかなり面白い。この座談会の記事を読んで、俄然亀山氏の『ドストエフスキー 父殺しの文学』(NHKブックス)が買いたくなった。この座談会は、現在の文学研究を反省する意味でも読んでおいて損はない。文学研究をやる人は読んでおくべき。今現在、「父殺し」のテーマで文学を論じるのは、勇気ある行為だと思う。その一方で、「使嗾」(=そそのかすこと)という魅力的なキーワードも出てきており、かなりこの亀山氏の論に興味を持った。
ところで、この記事を読んで、何て言ってもドストエフスキーは魅力のある作家だなあと思った。ドストエフスキーのためだけでもロシア語ができたら良かった。残念だ。でも、日本のロシア文学研究には優れた人が多いし、その成果をこれからも大いに利用したい。