テニュア

日本の大学にも、アメリカのような「テニュアトラック」制度が導入されるという*1
選ばれた若手研究者が、一定期間研究資金をもらって研究をつづけ、期間終了後に審査をし、認められれば教授や准教授のテニュア(終身在職権)が得られるとのこと。従来の制度では、「研究室に所属した研究者の昇進は、研究室の教授の意向に大きく左右された」ことが問題となっていたという。そこでこのテニュアトラックで、「人事の透明性を高め、研究意欲を支える」というわけだ。標準のモデルでは、次のようになるという。

 標準モデルでは、博士号を取得した30歳前後の若手研究者を対象に大学が10〜20人を選抜し、1000万円ほどの資金を支給して自分の研究室と専任スタッフを持たせる。以後、年1000万円ほどの研究費を5年間支給したうえで、昇進審査をする。審査に際しては大学や学部が学外委員も含めた審査委員会を設けるなどして、透明性を確保する。

テニュア獲得のために、ますます競争が厳しくなるのだろう。しかし、問題は、この制度を受ける若手研究者がどのように選抜されるかだ。結局、教授の意向で若手研究者が選抜されていくのであれば、従来の制度とあまり変わりがないように思える。
一方で、定年をむかえる団塊世代をねらった大学院の構想がある*2

 少子化で学生の確保に苦しむ全国の大学が、近く定年を迎える団塊世代の獲得に動いている。シニア限定の大学院や、中高年をねらった学部を計画する大学もある。

少子化で18歳の人口が頭打ちになり、生き残りをかけた大学は団塊世代をもう一度大学に呼び寄せようというわけだ。この世代は、学生時代に「大学解体」を主張していたのだが。「大学解体」を阻止してどうするつもりなのだろう?

 日本私立大学協会は04年、「シニア世代の受け入れ推進研究会」を設置した。昨年11月にまとめた中間報告では、「経営の安定化に貢献する」などと効果を強調。受け入れには、入試に学力試験がないシニア枠を設けるなどの工夫が必要だと提言する。同協会の担当者は「これからの大学にとって、シニアをどう受け入れるかは大きな課題。今後も研究を続けていく」と話している。

これで、定年が近い(定年退職する)団塊世代の教授をシニア向けの講義を担当させれば、教授もしばらくは安泰だ。「若手には厳しく、団塊には優しく」が、今後、大学のスタンダードになるのではないか。