大山倍達『地上最強への道』

大山倍達『地上最強への道 大山カラテもし戦わば』ちくま文庫、2006年1月
面白すぎる。奇書と呼んでも良いのではないか!
「もし戦わば」という通り、この本では様々な対戦を想定し、その攻略法をあれこれと語っている。冗談なのか本気なのか、まったく分からないが、たとえば猛獣と戦うならばとして、ライオン、虎、ヒョウ、牛、熊、ゴリラなどの攻略法を考えているし、凶器と戦うならばとして、剣やナイフ、銃を相手にして戦った経験を語っている。
四方田犬彦は、中上健次論である『貴種と転生』のなかで、宇宙大に拡がっていく「偽史」の想像力について分析していたが、本書の想像力も「偽史」のそれと匹敵するのではないか。肉体的にも精神的においても、まさに「地上最強への道」を極めんとした本だと言えよう。

地上最強への道―大山カラテもし戦わば (ちくま文庫)

地上最強への道―大山カラテもし戦わば (ちくま文庫)