吉村公三郎『眠れる美女』

◆『眠れる美女』監督:吉村公三郎/1968年/近代映画協会/96分/シネスコ
これはちょっとがっかりした作品。原作は、川端康成の有名な小説。川端康成の原作では、この前『千羽鶴』を見たがこちらも良くなかったことを思い出す。川端作品の映像化は難しいのだ。
それにしても、江口老人を演じていた田村高広がひどかった。老人であることを強調しようとすればするほど、違和感ばかり覚える。何か動作をするたびに、「はぁー」だの「うぅー」だのという小さな声が漏れて気持が悪い。また、この江口老人がひどく野暮というか美意識のない人間として造形されていて、設定としては川端らしい小説家なのだけど、教養というものが一切ないようなエロ爺さんになっていた。脚本は、やはりというべきか、新藤兼人だった。