豊田四郎『台所太平記』
◆『台所太平記』監督:豊田四郎/1963年/東京映画/110分/カラー
原作は谷崎潤一郎の小説。出演は森繁久彌、淡島千景など。森繁演じる小説家の家の「女中」つまりお手伝いさんたちの行動を描いた物語。「家」のなかで、「女中」という仕事が、戦後の時代に合わなくなり、やがては消えていく運命にあることが語られている。これが面白い。
たしかに、昭和の30年代までの日本映画には、女中というか住み込みのお手伝いがしばしば登場している。特にお金持ちの家でなくても、こうした女性がいたのだ。私の推測だが、昭和40年代以降の映画になると、普通の家に住み込みのお手伝いさんがいるということがなくなるのではないだろうか。「女中」の歴史などをちゃんと調べてみたいものだ。