三島由紀夫『獣の戯れ』

三島由紀夫『獣の戯れ』新潮文庫、1966年7月
この小説は、私には難しい。なんだかよく分からない物語だった。逸平、優子、幸平の三角関係の物語なのだろうか。逸平と優子が夫婦で、幸平は優子と関係を持つ男。幸平は、逸平を「スパナ」で殴る。それがもとで逸平は失語症になる。刑に服したのち、再び三人の生活が始まる。だが、最後に幸平と優子は逸平を殺害してしまう。幸平は死刑になり、優子は無期懲役となる。物語の冒頭で、優子は言う、「お墓もこんなふうにして、三人並んで建てたらどんなにいいでしょう」。この言葉通り、物語の最後に、三人のお墓は並べて建てられる。こうして、物語は逸平、優子、幸平の三人だけの世界をつくりあげる。三人による完璧な世界を提示することが、この物語の主眼なのだろうか。

獣の戯れ (新潮文庫)

獣の戯れ (新潮文庫)