内田隆三『社会学を学ぶ』

内田隆三社会学を学ぶ』ちくま新書、2005年4月
良書だと思う。社会学の理論から現代思想まで、分かりやすく説明しているし、各理論の可能性と問題点も指摘しており、初心者にはお得な内容。私には非常に参考になる一冊。
特に社会学の理論よりかは、現代思想のほうに関心を持つ私としては、第3章のマルクス、第4章の構造主義、そして第5章のフーコーは、何度もくり返して読みたい箇所。フーコーに関しては、とりわけ共感できる内容だった。ここで、フーコーの「言説分析」について、詳しく解説している。「今日、言説分析と称するものの多くが、分析する者の恣意的な解釈学に終っているのが現状である(p.135)」という批判の言葉は、世の多くの大学院生に心当たりがあるのではないか。私はきちんと「言説分析」を理解せずに、いい加減に「言説」という言葉を使っていたなと反省した。本書の解説を参考にして、もう一度フーコーを読み直さないといけない。

社会学を学ぶ (ちくま新書)

社会学を学ぶ (ちくま新書)