福澤一吉『論理表現のレッスン』

◆福澤一吉『論理表現のレッスン』日本放送出版協会、2005年1月
この本の冒頭で著者はいきなりこんな質問をする。「みなさんはどうして「論理」なる語がタイトルに含まれる本を手にとろうとするのでしょうか?」
私は、たしかに「論理」なる語に弱い。「論理」というタイトルがついた文章術指南の本を見かけると、かならず目を通したくなる。そして、思わず購入してしまうのだ。それは、私が「論理」的な文章を書きたいと日頃から願っているからなのだけど。
著者は、先の質問に対し、次のように述べている。「読者の方々が「その対象がなんであれ、自分なりにそれらをまとめて、整理できる視座、またはスタンスが欲しい。そのときに論理が道具として使えるのではと考えている」ということではないか」。
なるほど、私自身に照らしてみても、当っているところがあるなあと思いながら本書を読み始めた。
読んでみると、とりたてて目新しいことは書かれていない。巷に出回る論文の書き方、レポート術の類の本によく書かれていることとそれほど内容に大差はない。しかし、論証の評価の仕方が説明されている終章は、具体的にいくつかの文章を分析し、どうすればより「論理」的な文章になるのか示しているので参考になるだろう。

論理表現のレッスン (生活人新書)

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