三島由紀夫『芸術断想』

三島由紀夫『芸術断想』ちくま文庫、1995年8月
本書のタイトルにもなっている「芸術断想」は、主に三島の観劇記といったもので、演劇や歌舞伎や能について縦横に論じている。ときどき、映画評があったり、オペラがあったり。私は、三島が観た芝居や歌舞伎など全然見たこともなし、知識もないので、読むのが一苦労なのだけど、演劇や歌舞伎に詳しい人が読んだらきっと面白い本なのではないか。三島は評論がとてもうまい。実際に自分自身でも創作をするからだろか、三島は作品の本質というか核となるような箇所を直観的に捉えることができる。おそらく数多くの観劇経験も糧となっているのだろうが。
それにひきかえ、こんな風にしか本の感想を書けない自分がひどく情けない。読んだ本の核となるような箇所を鋭く指摘して、そこから自分の考えなどが論じられるようにしないといけない。もっともっと批評的に読書をする訓練が必要だ。
三島のように、たくさんの芸術作品を論じられるようになれたらいいなと思う。