興味深い分析だが

山崎正和『不機嫌の時代』(『山崎正和著作集8』中央公論社、所収)
漱石、鴎外、志賀直哉に見られる一つの気分として「不機嫌」を見出す。この「不機嫌」という感情を、単なる個人的な問題とせず、近代社会、あるいは日露戦後の明治の一つの時代の「気分」として分析する。この「不機嫌」という気分は、実存主義に似ている。存在の不安から生じるようなところがあるようだ。
それにしても、私には読みにくい。けっして難解な言い回しや、内容ではないのだけれど、はっきり言って読みにくい。この後、同じ著者の『鴎外・闘ふ家長』を読むつもりだったけど、ちょっと考えよう。