定方晟『空と無我――仏教の言語観』

◆定方晟『空と無我――仏教の言語観』講談社現代新書
『空と無我』は、はじめのうちはその書き方に少々苛立ちを覚えるが、読み慣れると面白い本だ。しかし、けっしてやさしい本とは言えない。かなり専門的な書き方だと感じた。(私自身、仏教についてほとんど知らないという原因もあるが。)というか、仏教そのものが理解しにくい、ということもあるだろう。だけど、西洋哲学にはない魅力というのもあるのは確かだ。
この本は、言葉にかなりこだわっている。言語哲学として読む、という感じ。そもそも、ナーガールジュナなどは、徹底して言語を分析していた人のようだ。そして、本書によると、ナーガールジュナは、「言葉(概念)を実体視すること」を否定したということだ。