中沢新一『人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ?』

◆中沢新一『人類最古の哲学　カイエ・ソバージュ?』講談社、2002年1月
神話学入門ということで、世界各地に分布するシンデレラの物語などを取り上げて、その意味を読み解いていくのは、かなり面白い。
最後に神話と現実について語っているが、宗教がときに現実から乖離して想像力や幻想によって独自の世界を作り上げてしまうのに対し、神話は現実から決して離れることはないと指摘する。そして、私たちがヴァーチャルな世界へ没入しそうなとき、神話は「具体性の世界の豊かさをもういちど確かめなさい」（p.207）と警告するだろうという。
やはり、ポストモダンを経て、いろいろと苦い経験をし、最後にたどり着いたのは、「現実へ帰れ」と言うことだったのかと思った。

人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) (講談社選書メチエ)