清水義範『スラスラ書ける!ビジネス文書』

清水義範『スラスラ書ける!ビジネス文書』講談社現代新書、2006年4月
私は恥ずかしながら未だに会社に入って働いたことがなかったので、ビジネス文書がどういうものがイメージができなかった。しかしながら、この本を読んだおかげでビジネス文書とはどういうものなのか理解することができた。この本に書かれていることは、実際に働いている人なら「当然のことだな」と思うことばかりなのかもしれない。しかし、作家ならではの言葉でビジネス文書の書き方を説いて面白い(とはいえ、若い頃のサラリーマン生活の経験をもとに書かれている)。
たとえば、チャームのある文書を書けという。要するに、ビジネス文書のなかに、いかにさりげなく「自分らしさ」を出したらよいかということだが、ここで清水は「私事ではございますが」という言葉の上手な使い方を提案している。もちろん、ビジネスにだらだらと私事を連ねても仕方がない。大事なのは、「相手への思い入れ」を伝えることなのだという。そのとき、この「私事ではございますが」を使うのだ。そう簡単に書けるものではないかもしれないが、おもしろい方法だと思う。こうした方法を用いて、ビジネス文書にさりげなく<可愛げ>を出すのがポイントなのだ。清水は、ビジネス文書における<可愛げ>について、こう説明している。

<可愛げ>とは、ひたむきなのだが至らないものを見た時に、感じられるものである。(p.121)

こういう<可愛げ>を見せられると、人の心は動かされるというわけだ。そして、人の心を動かすことが、ビジネス文書のねらいの一つでもある。ぜひとも、この<可愛げ>を自然と出せるような人間になりたいものである。これが、もしかすると、企業の求める人間性なのかもしれない。

スラスラ書ける!ビジネス文書 (講談社現代新書)

スラスラ書ける!ビジネス文書 (講談社現代新書)