竹森俊平『経済論戦は甦る』

◆竹森俊平『経済論戦は甦る』東洋経済新報社、2002年10月
経済学の知識がないので、よく理解できていないところもあるが、とりあえずデフレの放置は危険だということか。
導入部で、シュムペーターとフィッシャーの二人を紹介する。それは、シュムペーター的な「創造的破壊」の経済理論とフィッシャー的な「デット・デフレーション」の経済理論の二つを軸にすると、現在日本で行われている経済論争が整理しやすいからだという。構造改革かデフレ対策か。
シュムペーター的な「不況」の考えは、「「不況」は経済の構造調整を促す「必要悪」である。これが起こることで、必要がなくなった古い産業や企業から、これから必要が増す新しい産業や企業への生産資源の転換がスムーズに行われるからである」(p.179)というもの。
もう一方のフィッシャー的な見方は、「深刻な「不況」は、生産・投資活動の主体となる「企業」や、「企業」に対する資金供給の仲介という重要な役割を持った「金融機関」が、資産を喪失したり、過度な債務を累積したりする結果として起こる。「不況」が起これば、企業への資金調達ルートがふさがれてしまい、新規投資もストップするから、「不況」によって、経済の長期的な発展は阻害される」(p.179)というもの。
「不況」に関するこの二つの見解を覚えておくこと。

経済論戦は甦る

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