保坂&源一郎

高橋源一郎文学じゃないかもしれない症候群』朝日文芸文庫
高橋源一郎『文学がこんなにわかっていいかしら』福武文庫
保坂和志『季節の記憶』中公文庫
保坂和志『草の上の朝食』中公文庫
古本で購入。実際、高橋源一郎の場合、書評というかエッセイのほうが小説より好きかもしれない。前に『文学なんかこわくない』に感銘を受けた身としては。そんなことを思い出し、もっとエッセイのほうを読んでみようかなあと。
ところで、『現代詩手帖特集版 高橋源一郎』にある年譜をちらちらと読んでみると、学生運動→挫折→「失語症」体験という流れがあった。なるほど、「文学」あるいはもっと正確には、「文学」の「言語」への執拗なこだわりは、この「失語症」にあったのかと。
それまで絶対の信用を持って用いていた「(政治)言語」が、使い物にならなくなって、また新たに自分のなかに言語体系を作りあげていく作業=リハビリが「文学」を書くことだった、ということいなるだろうか。政治→文学というのは、明治時代の「文学」誕生の過程と似ているといえば似ている。もっと作品を読んで調べてみないと何とも言えないのだが。