蓮實重彦『映像の詩学』

蓮實重彦『映像の詩学ちくま学芸文庫
私が好きな本の一つ。時々、読み返してみたくなる本。映画批評と銘打った本は多いけれど、このレベルの批評をした本は現在でもほとんどない。たしかに、映画の研究は1990年代以降、アカデミックレベルで質の高い研究が次々と生まれ、日本の映画研究も良い状況になってきてはいる。しかし、一方で批評に目を転じてみると、相変わらず批評といっても昔ながらの印象批評かあらすじ紹介といったレベルの本が多い。この本のように、「映画」を「見ること」とは何か、といったある意味原理的な考察まで進むのは稀である。そういう意味で、この本は今でも読まれるべき本だし、個人的には参考にすることが多い。