最近のニュースを見ていると、問題が複雑というか、解決が困難なことばかりだと思う。かつてのように、善/悪とか分かりやすい二項対立があって、善を選べば良かったという時代と違って、善を選ぶにしてもその善の内部においても様々な意見があって、簡単に善を選ぶことができない。絶対的に正しい答えというものがないので、常にジレンマに陥るような印象だ。
たとえば、これはイラクへの自衛隊派遣問題もそうだ。派遣する/派遣しないとした時、どうみても現段階のイラクは、派遣できるような状態ではない。それでは、派遣反対だと主張したいのだが、その主張を堂々と言えるわけではない。何かためらいを感じる。というのも、何もせずにイラクを放っておくというわけにはいかない。これは国際社会で体裁を保つためではなく、今のイラクを見て、なんとかして復興させなければいけないと感じるからだ。イラクを支援したい、がその最も適切な方法がどうも見つからない、という困惑した状況だけがある。
支援を受けるイラク側でも、おそらくアメリカ追従の日本など来るな、という意見もあるだろうし、日本にも来てもらって復興を手伝って欲しいという意見もあるだろう。こちらも一枚岩ではないはずだ。
こういう世界のなかで、私たちはどうやって議論をしたらよいのだろうか。どうやって合意をすればよいのだろうか。どうもこれまでのツールではもはや太刀打ちできない状況がはっきりとあるのだが、それに対する有効なツールを見つけられないでいるような気がする。