二階堂善弘『中国妖怪伝』

二階堂善弘『中国妖怪伝 怪しきものたちの系譜』平凡社、2003年3月
当然といえば当然なのかもしれないが、中国も日本に負けず劣らず妖怪がたくさんいる。妖怪と幽霊の話は、どの国のものでもおもしろい。怪しい話にこそ、人間の想像力が発揮される。
本書の冒頭で、中国の物語では神と妖怪の境界があいまいであることが述べられている。日本の妖怪と共通だ。天上で神であったが、下界に降りて妖怪をやる。逆に妖怪であったものが神になってしまったりと。孫悟空も、石から生まれ仙術を身につけ、猿たちの王と称したときには、天の神々から妖怪だとされ討伐の対象となるわけだが、玉皇大帝から官位を授けられると「斉天大聖」という神として扱われるという。その違いは、ただ官位のあるかないかしかない。崇拝と恐れの差は、古今東西紙一重であるということか。

中国妖怪伝―怪しきものたちの系譜 (平凡社新書)

中国妖怪伝―怪しきものたちの系譜 (平凡社新書)