小松和彦『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』

小松和彦『妖怪学新考 妖怪からみる日本人の心』洋泉社、2007年7月
妖怪学の事始めとして重要な本。妖怪とは何か、という興味深い主張がなされている。日本人が妖怪とどのようにつきあってきたのか、そこから日本文化のあり方を導き出す手腕に瞠目する。
本書を読んで一番驚いたのは、幽霊は妖怪の一つであるという点だ。本書を読むまで、なんとなく妖怪と幽霊は異なるものと思っていた。なので、この見解は新鮮だった。
ほかにも、「神」と「妖怪」には相対的な違いしかないことがわかる。「神」と「妖怪」の関係についても、シンプルな理論ではあるが、非常に示唆に富む内容で、日本の文化や日本人の心性を研究する上で有益である。