野口旭/田中秀臣『構造改革論の誤解』

◆野口旭/田中秀臣構造改革論の誤解』東洋経済新報社、2001年12月
本書は、構造改革なくして景気回復はないという「構造改革主義」の誤解を正し、日本の長期停滞の原因を「バブル崩壊後の資産デフレに端を発する、マクロ的な総供給に対する総需要の恒常的な不足」(p.4)であることを主張し、相次ぐマクロ政策、金融政策の失敗を明らかにする。
本書を読んでいて、次の箇所が一番印象に残った。

 ポール・クルーグマンはかつて、九〇年代の日本の金融緩和政策の不徹底ぶりについて、「誤って歩行者を轢いてしまった運転手が、『ごめんなさい。元に戻します』といって、車をバックさせてもう一度轢いてしまうようなもの」と揶揄したことがある。(p.171)

これはひどい。デフレは恐ろしい。それを容認するかのような政策は、やはり許せないものだ。

構造改革論の誤解

構造改革論の誤解