内田樹・春日武彦『健全な肉体に狂気は宿る』

内田樹春日武彦『健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体』角川書店、2005年8月
内田樹春日武彦による対談本。テーマは「身体論」なので、これだけでおおよその内容がわかってしまうだろう。つまり、身体はすばらしい!ということだ。
身体論自体は興味あるし、内田樹の語る内容も面白いのだが、身体論はポストモダン以降さんざん論じられており、本書の内容はそれほど新しいものではなかった。
一つだけ気になるのは、身体のすばらしさの強調はオウム事件を通過した私たちにとって、ややためらいを覚えるものではないか。身体がもたらす危険性にも注意を向けるべきだと思う。その点、内田氏は身体に対し無防備なのではないか。