井筒和幸『パッチギ!』

◆『パッチギ!』監督:井筒和幸/2004年/日本/119分
かなり面白い映画だった。高校生同士の抗争が、物語展開の一つの軸になっているのだけど、やたらみんな強いなと思う。けんかが強いというより、身体的に強すぎ。どんなに痛めつけられても、次の場面では何事もなかったように、元気に登場してくる高校生たち。この身体的強靱さは何なのだろうと。これこそ、映画だなと思う。
一方で、この映画の印象的なものを一つ挙げれば、ヒロインのキョンジャ役の沢尻エリカの身体ではないだろうか。ふくよかなと言えば言い過ぎかもしれないが、女性らしい丸みを帯びた、いかにもかわいらしい身体は、他の女性登場人物と異質な印象を与える。その身体の差異が、ヒロインたる理由なのかもしれない。この映画が、政治的な微妙な問題を扱いながらも、ある種の深刻さを逃れて、娯楽性を獲得しているのは、ヒロインのこの身体性にあると思う。
60年代が最近ちょっと注目されているが、この映画を見て、60年代の雰囲気を理解することができた。