佐和隆光『市場主義の終焉』

佐和隆光『市場主義の終焉−日本経済をどうするのか−』岩波新書、2000年10月
市場主義でもなく、反市場主義でもなく、それらを止揚した「第三の道」による改革を主張する。

市場主義改革は「必要」であるが、「十分」ではない。必要にして十分な改革とはなんなのか。この設問に対する私自身の答えは、市場主義改革と「第三の道」改革を同時に遂行することにほかならない。市場主義改革の遂行により効率性を確保しつつ、それにともなう「副作用」の緩和をめざす「第三の道」改革による、公共性を重んじる、公正で「排除」のない社会の実現を同時にめざす。これこそが「必要」にして「十分」な改革なのである。同時改革を可能にするには、市場主義改革のもたらす「副作用」を適確にみきわめたうえで、平等、福祉など、そのままでは市場主義改革の妨げとなりかねない、既成の価値と制度の根源的なパラダイム・シフトをはからねばならない。(p.229)

著者自身の本書の要約は上記の通り。要するに、「排除」をしない改革が必要なのだ。