浅羽通明『ナショナリズム』

浅羽通明ナショナリズムちくま新書、2004年5月
この本も『アナーキズム』と同様に、とても興味深い一冊だった。日本における「ナショナリズム」の思想史を辿っているのだが、知識人レベルの「ナショナリズム」を分析するだけではなく、大衆文化レベルにおける「ナショナリズム」を分析しているのが特色。
本書の第七章では、本宮ひろ志の『男一匹ガキ大将』が取り上げられ、第八章では司馬遼太郎が論じられている。大衆文学やサブカルチャーの面から思想史を論じたことが面白いし、本書のなかでもっとも読み応えがあるのもこの二つの章であることは間違いない。

ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)

ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)