永井均『マンガは哲学する』

永井均『マンガは哲学する』講談社α文庫、2004年8月
以前『私・今・そして神』(ISBN:4061497456)を読んだ。ほかにも『転校生とブラック・ジャック』(ISBN:4000265857)、『倫理とは何か』(ISBN:4782802099)を今年になって読んだ。『マンガは哲学する』は、これら3冊の前に書かれた本だった。著者は言う、「本書は画期的な出来事であった」と。

本書以前と以後では、私の哲学は大きく変わった。飛躍した、と自分では思っている。本書以前の私の哲学には、追随者や批判者がいたが、本書以後の私の哲学には、どちらもまだいない。(私自身がまだ全貌をつかんでいないのだから、当然のことではあるが)。ひょっとすると、もうずっといないかもしれない、と思う。(p.257)

たしかに、本書のいくつかのテーマ、「私」を中心に世界が開けてくること、あるいは「今」を中心に世界が開けてくることなどは、『私・今・そして神』へと受け継がれ、より濃密に議論されていた。思うに、本書『マンガは哲学する』と『私・今・そして神』はセットにして読んだ方がいい。順番はどちらが先でも構わないけれど、永井哲学のイメージを掴みたいのなら、『マンガは哲学する』のほうを先に読んだらよいのかもしれない。

マンガは哲学する (講談社プラスアルファ文庫)

マンガは哲学する (講談社プラスアルファ文庫)