山室信一『日露戦争の世紀』

山室信一日露戦争の世紀−連鎖視点からみる日本と世界−』岩波新書、2005年7月
非常に面白い本。新書ではもったい。内容が充実していて、歴史の知識がない私にはすごく勉強になった。
一章と二章において、日露戦争前の東アジアの状況を概観する。三章で日露戦争が開戦するまでを論じ、四章はこの戦争とメディアとの関係を論じる。五章では、日露戦争で、日本が勝利したことによって、世界から日本がどのように見られるようになったかを分析する。最後の六章では、開戦論を非戦論について、文学や絵画などを読み解きながら論じる。
全体として、非常に目配りが行き届いている。単に日本だけの問題として論じるのではなくて、東アジアや欧米との関係を踏まえて論じているところに、スケールの大きさを感じた。もっといろいろ知りたくなった。『思想課題としてのアジア』のほうも読んでみようかなと思う。