小熊英二『日本社会のしくみ』

小熊英二『日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学講談社、2019年7月

雇用慣行について、比較および歴史社会学的な分析。日本の雇用の特徴といわれる年功序列の賃金、終身雇用がどのような経緯でもって成立したのか、多くの資料や参考文献を用いて明らかにしていく。

今、当たり前だと思っていた「しくみ」が、どのように成立したのかという歴史を振り返っていくと、この社会はもしかしたら別のありようもあったのだなと思わせられる。だが、この今の社会を選んだのは、私たちである。どの社会が良いとか悪いとか、誰が悪の元凶だとか、そんなことの答えを本書に求めてはならない。結局は、私たちはどのような社会を目指すのかを一人一人考えるだけだ。そのための土台になるのが本書である。

それにしても分厚い本だ。