永井均『子どものための哲学対話』

永井均『子どものための哲学対話』講談社、1997年7月
語り口は子ども向けではあるが、内容は大人が読んでも十分面白い。「学校」的な道徳では決して語られないような重要なことが述べられている。
「友だちは必要か?」について、こう述べている。

人間は自分のことをわかってくれる人なんかいなくても生きていけるってことこそが、人間が学ぶべき、なによりたいせつなことなんだ。そして、友情って、本来、友だちなんかいなくても生きていける人たちのあいだにしか、成り立たないものなんじゃないかな?(p.63)

まったくその通りである。現代社会はコミュニケーション志向が強く、他人と繋がることに価値があるような風潮があるが、人と繋がらなくても人間は生きていけるのだ。コミュニケーションの安易な礼賛は毒になる。こういうことは、子どものころからしっかり学んでおくべきだと思う。

子どものための哲学対話

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