亘明志『記号論と社会学』

亘明志記号論社会学』ハーベスト社、2004年12月
もとは『記号論社会学――記号論の彼方/外部としての権力』というタイトルで、広島修道大学総合研究所の研究叢書の一つとして、1986年に出た本。良い本らしいというのは知っていたのだけど、なかなか手に入らなくて諦めていたのだが、新たにハーベスト社から出ていたのを知って急いで購入。一気に読む。面白い。記号論の理解に非常に役立つ本だと思う。
「あとがき」のなかで、著者が本書のねらいを簡単に述べている。それによると、本書のねらいの一つは、「読者が記号論を自家薬籠中の物として使いこなせるようにすること」であり、もう一つは、「記号論からの脱出線を引くこと」(p.153)とある。この二つは矛盾するようだが、同時に遂行することは可能だし、そうすべきである、というのが著者の考えである。
本書は、ひとまず記号論に対し内在的にアプローチする。そして現実が記号論化してしまった状況にたどり着く。また記号論について素描しようとすれば、外部に立たなければならないが、その外部はすぐに記号論の内部に取り込まれてしまう。ここが記号論の厄介なところ。記号論の分析が鋭いと感じるのは、すでに現実が記号論化しているからだと言う。記号に支配された社会すなわちセミオクラシーの社会を前にして、記号論の外部はどうなるのか。記号論に外部などあり得るのかが問題になる。そういうわけで最後に、記号論の外部として「権力」の問題が示唆されているが、残念ながら示唆するだけで本書は終わってしまう。まあ、仕方がないのだろう。しかし、記号論の外部という問題に、どのような解決法があるのか(あるいは解決法などないのか、そもそも解決法を考えることがまずいのか)、すごく気になるところだ。

記号論と社会学 (リベラ・シリーズ (7))

記号論と社会学 (リベラ・シリーズ (7))