人間と物語の関係を探る
◆私市保彦『幻想物語の文法』ちくま学芸文庫
幻想物語のテーマというかパターンといったものを古代から現代までの物語を使って引き出して、それがどのように描かれているか論じた好著。「影」や「分身」といった代表的な主題から、他界の創造まで。幻想物語自体、私は苦手であまり読んでいないけれど、幻想物語についての研究には関心がある。この本でも、しばしば述べられているけれど、幻想物語には、近代や都市の発達によって排除や抑圧されたものが、跳梁跋扈する。それはまた人間の深層意識もまた表層に浮かび上がらせるだろう。幻想物語には、物語の原形が様々な時代や場所で現れることがあり、ある物語の形が連綿と人間の間で受け継がれているという事実に驚きと好奇心を掻き立てる。
あと、幻想物語について知識を持っておくと、村上春樹を読むときに役立つのではと思う。村上春樹の作品もやっぱり幻想物語の一つだから。