衝撃的な結末
◆『息子のまなざし』2002年/ベルギー=フランス/103分 監督:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
びっくりした、結末を見て。こんな結末の映画を見たのは初めてだ。詳しく書くと、これから見る人に悪いのでこれ以上は言いたくないが、衝撃的だった。
この映画のシーンのほとんどが、主人公のオリヴィエの顔のクロースアップで占めている。最初の場面など、オリヴィエの後頭部だ。人の後頭部がひたすら写っている映画なんて、とまず驚かされる。で、いつになったら、カメラはオリヴィエから離れるのかと思っていたのだけど、一向に離れる気配がない。どの場面になっても、オリヴィエの顔が画面の大半を占めていて、周囲の状況がほとんど分からない。おまけに、このカメラの視線が一体誰の視線なのか分からない。一体誰がオリヴィエに執拗な視線を投げかけているのか。だから苛立つ。オリヴィエの表情は終始無愛想。この表情を見ていると緊張し、ますます苛立ちが募る。そんな映画だ。
やがて少ない情報から、オリヴィエやもう一人の登場人物の少年の置かれている状況が分かってくる。そうすると、なんとなく私はある物語を想像してしまう。たとえば、癒しの物語だとか、和解の物語だとか。だけど、映画はそんな私の想像をあっけらかんと突き放す。そんな安っぽい物語などはお断りだと言わんばかりに。結末に遭遇した私は、自分の想像の貧困さを思い知らされた。この映画は間違いなく傑作だ。